たるみ治療ドクター
六本木境クリニック
境隆博
監修者情報
たるみ治療の専門の六本木境クリニック
美容外科「六本木境クリニック」院長。たるみ治療に真摯に取り組み、カウンセリングからアフターケアまで一貫して担当。また、美容医療業界の技術発展を目指し、学会やシンポジウムでの発表・講演でも活動中です。
日本形成外科学会形成外科専門医/日本アンチエイジング外科学会評議員/美容外科学会(JSAPS)正会員/美容外科学会(JSAS)正会員
03‐6441‐0691
10代や20代前半位までは、目元にハリがあったのに、気づけば、上まぶたがたるんで重たく見える。年齢でしかたないなとあきらめてしまう前に、なぜ年齢を重ねるとまぶたがたるんでしまうのか知っておきましょう。
年齢を重ねると、まぶたに限らずどこの部位も老化が起こります。特に女性の場合は、お顔の変化は気になりますよね。まぶたの皮膚は約0.6mmという薄く、その他の組織も極めてデリケートなので、ダイレクトにその影響を受けやすいのです。
加齢による皮膚の老け方というのは、まず鏡で自分の顔を見て、クマやシワとともにたるみが気になりだしてから、少しずつ進行し、他人が見て気になるというほどに変って行きます。
その原因は加齢によって皮膚の中にあるコラーゲンが減少するからだと言われています。ハリや弾力を保つ成分がなくなっていくので、自らの重みを支えられなくなり、ダラリとたるんでしまう。新陳代謝も遅くなり、お肌の調子を回復させていくのが年齢とともに難しくなるなどと言う意見があります。
わたくしはコラーゲンが減るとたるみが生じると言った考えには反対です。この意見を聞いたり目にしたりすると、因果関係と相関関係を混同しているような違和感をいつも覚えています。コラーゲンが減ることが原因でたるみが結果と言うことが自明の理とでも言わんばかりの風潮がありますが、先にたるみが生じたからコラーゲンが減ったなどと言うことも十分考えられると思われます。またはコラーゲンが減ることとたるみとは直接的な因果関係がない場合すらありえると思われます。
わたくしは形成外科医や美容外科医として20年前から眼瞼下垂手術を、12年前から眉下切開を行ってきました。実際に毎日のようにまぶたの内部を見ている医者である私がたるみは表面の皮膚が原因ではないとよく分かっています。たるみは眼瞼挙筋腱膜や靭帯などの支持組織がゆるむことによって生じると考えています。皮膚のたるみはたるみを考えた場合の主役ではありません。まぶた全体がたるむと皮膚もたるんで見えるのです。そして、その文脈の大切な部分にはコラーゲンと言う言葉の出番はありません。
年齢を重ねると顔の筋肉が衰えていきます。そして、使わない筋肉は、時間がたてばたつほどゆるんでいきます。しかも、現代人のパソコンやスマホ、テレビなどを見る機会の多い生活では、瞬きをする回数も減っているそうです。そういったことも目のまわりの筋肉を使わない習慣となり、まぶたの加齢を速めてしまっている要因のひとつと言った意見もあるそうです。
特に目のまわりの眼輪筋(がんりんきん)や眼瞼挙筋(がんけんきょきん)は、他の筋肉と比べて非常にうすいため、衰えが表面に現れやすいのです。重さに耐えられずにたるんだような重たいまぶたになっていくと言った考え方もあるようです。
しかし、わたくしはこの筋肉関連の考え方もすべて、靭帯などの支持組織や挙筋腱膜のゆるみが先に生じるから、筋肉が弱ると考えて良いと思っています。眼瞼挙筋は腱膜を介して瞼板と言う軟骨に停止しており、眼輪筋は表情筋に停止しています。整形外科の外傷などで筋肉の起始や停止の部分がゆるむと筋肉がやせ細って弱くなることはよく知られています。
皮膚のたるみも、筋肉の衰えも、両方が影響して目元の老化が進行しているということもあります。筋肉が衰えれば、動きが悪くなって目のまわりに老廃物がたまります。そうすると、さらに目元の血やリンパの流れが悪くなっていきます。皮膚のターンオーバーにも良くありません。肌の調子が滞れば、コラーゲンやエラスチンといったハリ成分も減少。このような状態では、皮膚にも筋肉にも悪いサイクルが定着してしまうと言った悪循環の考え方があるようです。しかし、わたくしは眼瞼挙筋腱膜や靭帯などの支持組織がゆるむと皮膚のたるみが生じ、筋肉が弱くなると言った並列の関係じゃないかと思っています。
加齢によってまぶたがたるんでくると、他の部位にも影響が出てきます。顔の皮膚や筋肉は、つながっているので、まぶたが老けるとお顔全体に負担がかかるのです。
どんな人でも年齢は重ねていくものですので、皮膚や筋肉の衰えは仕方のないことです。ですが、少しでも目もとの老化を遅らせたいと思うのが女心ですよね。目は、顔の中心ですので、視線が気になる部分です。まぶたがたるむと顔の印象が老けて見えてしまいます。
一度、たるんでしまうと、なかなか元に戻すというのは自分だけでは難しいです。目もとのたるみは、上記で説明した通り、ご自身で自覚してからまわりの人が気になるまでゆっくり進行していくものです。
皮膚のたるみに関しては、ハリや弾力の成分が失われていくことが原因のため、コラーゲン配合の化粧品を使ってみるなどの対策が言われていますが、化粧品は保湿作用があれば十分だと考えられます。「筋肉の衰えには、やはりお顔の表情筋を使っていくことも大事です。瞬きを多くするように意識したり、お顔全体の筋肉を動かす体操をしてみたり、ちょっとしたことでも続けていくことはできます。」このような意見もあるのですが、この意見はボツリヌストキシン注射による治療と相矛盾した考え方です。どちらかが間違いであるか、ケースバイケースで使い分ける必要があるということでしょうけど…。わたくしはお顔の体操もボツリヌストキシン注射もともに積極的にはおすすめはしません。そもそもお顔のたるみやまぶたのたるみの原因が、靭帯などの支持組織や眼瞼挙筋腱膜のゆるみと言うことでしたら、お顔やまぶたを強くさわらずに自然体でいた方が良いわけです。もちろん、筋肉が強いとたるみにくいと言った側面があることは否定できませんが、その場合ですら、前提として、皮膚に筋肉の力を伝える健常な支持組織や腱膜があってこそたるみにくいと言えます。
改善効果を期待する場合は、やはり美容のプロであるクリニックの医師に相談していくのが良いかと思います。
※パニック障害など精神疾患や膠原病・腎不全など重度内科疾患の手術はお断りすることがあります。
月・火・木・金 11:00~18:30
土・日・祝祭日 10:00~17:30
水曜日は休診日となります。