まぶたやおでこを含めたお顔上半分のリフトアップをしたい方/おでこや眉毛などの他の部位のたるみも気になっている方
まぶたや眉毛部分の顔の見える範囲には傷あとをつくりたくない方
たるみ治療ドクター
六本木境クリニック
境隆博
監修者情報
たるみ治療の専門の六本木境クリニック
美容外科「六本木境クリニック」院長。たるみ治療に真摯に取り組み、カウンセリングからアフターケアまで一貫して担当。また、美容医療業界の技術発展を目指し、学会やシンポジウムでの発表・講演でも活動中です。
日本形成外科学会専門医/日本アンチエイジング外科学会評議員/美容外科学会(JSAPS)正会員/美容外科学会(JSAS)正会員
03‐6441‐0691
ひたいと髪の毛の生え際、もしくは、髪の毛が生えている頭皮のカチューシャの当たる部分(冠状部分)を切開して、ひたいのたるんだ皮膚をカットする手術です。切り取って縫い合わせると、ひたいのたるみやシワがのびます。そうすると、眉毛や上まぶたも上がります。生え際や頭皮から皮膚を引っ張り上げることで、顔全体の上半分がスッキリとして表情が若々しく変わります。
生え際で皮膚を切除することでおでこを狭くしたり、頭皮の冠状切開からアプローチすることでおでこを逆に広くしたり、ひたいの横シワやたるみを減らしたりする効果があり、以前はエイジングケアの手術として幅広く提案されていました。眉毛を持ち上げることもできるので、下がり眉や眉間のシワ、眉とまぶたの距離が気になる方に長年すすめられてきた治療と言えます。
まぶたのたるみ治療としても提案されてきました。ひたいから広範囲の皮膚を持ち上げるため、上まぶたも上にあがるといった理由からです。まぶた自体のたるんだ皮膚はそのまま切除されないので、たるみが解消するというよりは、あくまで皮膚を持ち上げるといった治療となります。
まぶたのたるみ治療でこの前額リフトが行われる場合。どの位置を切開するかというのがポイントとなります。手術では一般的に一番効果を出したい部位、つまりまぶたから近ければ近いほど効果があるとされています。前額リフトでは、頭皮の冠状切開よりも目もとから距離が近い位置の生え際での切開のほうが、まぶたのたるみ治療としては有効であると考えられます。しかし、生え際の近いところからでもまぶたまでは数センチはありますので、他の眉下切開や眼瞼下垂などの手術よりは直接的なアプローチができないため、効果が低くなります。そして、生え際切開では植毛を連想させるような不自然な生え際になっている症例をよく目の当たりにします。
生え際の皮膚をカットすると、まぶたのたるみは、上の方向に一辺倒に引っ張られるようになります。無理に持ち上がると、上まぶたの部分にくぼみが生まれます。目もとのくぼみは、人の表情を老けた印象に見せてしまうことがあるので表情が変わってしまったと気になる方は少なからずいらっしゃいます。
上まぶたの皮膚のたるみが重度の場合は、やはり遠くから引っ張り上げる方法なので、皮膚のたるみが解消せず、二重部分の厚ぼったさが残ってしまったというケースもあるのです。ひたいのたるみやシワ伸ばし、眉毛を上げる効果は高いので、まぶたを含めた、お顔全体のリフトアップをしたい、という要望には適しているかもしれません。
ただし、今のたるみに対しての治療なので、その後、5年10年たって、さらにまぶたが下がってくれば、たるみは隠すことができなくなることを知っておいてください。
手術の時間は、60分から90分ほどで終わります。当日から傷口を濡らさなければ洗顔やシャワーもでき、メイクも可能ですので無理をしない範囲で日常生活には戻りやすいです。前額リフトでは、皮膚を切って剥離する範囲がまぶたの手術よりはるかに広いため、痛みや腫れなどのダウンタイムは長くなります。手術中は、全身麻酔をして痛みはないですが、術後の痛みがひどい場合には痛み止めなどを服用することで対応できます。手術後は、1週間から2週間で腫れやむくみ、内出血は引いていきます。生え際や冠状切開部だけでなく、頭皮の広範囲に違和感やかゆみが発生することがあります。数か月と言った長い期間をかけて徐々になくなっていきますが、数年以上続くこともあるようです。抜糸は1週間程度で行われます。傷あとは赤みなどが半年ほどで薄くなってきます。生え際や頭皮部分のため、傷あとは目立ちにくく、髪の毛に隠すことができます。
前額リフトは、手術を受ける美容外科で費用に差があります。一般的には、80万円前後といった場合が多いようです。皮膚の切除する範囲やアプローチ方法などにより費用は変わってきます。そのほかにも麻酔代が必要ですが、全身麻酔の場合は10万円など高額となるため、総額がいくらになるのかきちんと確認しておいたほうが安心です。
どの手術にも考えられるリスクとして、感染症はありますので、抗生物質などのお薬を飲んで予防します。痛みや皮下出血、腫れ、むくみは個人差があります。人によっては、手術をしてしばらくは、前額から頭部の広範囲に違和感や感覚が鈍くなるといった状態が続く場合がありますが、多くは一時的で徐々に回復してきます。ケロイド体質の方は、傷口が治っていく過程で皮膚が赤く盛り上がってしまい、肥厚性瘢痕になる場合があります。そして、驚くべき話として、有名なクリニックで前額リフトを受けた際、顔面神経側頭枝を傷つけてしまい、眉毛がかえって低くなったと言う相談もあります。
仕上がりに関するリスクとしては、医師の技術力とセンスによっても違いが出ます。完全な左右対称とはならず、バランスが悪く見えてしまうこともあります。また、前額リフトでは、眉毛は上に持ち上がり、まぶたの二重は、縦方向に引っ張られるようになります。遠い位置から持ち上げるため、不自然にくぼみが出たまぶたに仕上がってしまうことがあります。このような失敗を防ぐためには、事前に医師とまぶたや眉毛の見え方、カタチについて念入りにイメージの相談をしていくことが大切となります。
まぶたのたるみだけの治療というよりも、ひたいのリフトアップという目的で行われる施術です。まぶたに傷をつくることに抵抗がある方にとっては、髪の生え際もしくは頭皮を切除するこの方法は選択肢になるのではないでしょうか。しかし、他の眉下切開などのまぶた手術は切開・剥離の範囲が小さいのに対して、この手術法はひたいの皮膚全体を持ち上げるためにメスを入れ剥離する範囲が非常に広いです。出血量が多くなったり、合併症のリスクが高かったり、術後の痛みなども気になります。そのリスクのわりには、まぶたに直接アプローチする眉下切開などの手術よりはまぶたのたるみに対する効果が薄く、不自然な仕上がりになりやすいという見解もあります。メリットやデメリットもよく考慮して、この前額リフトだけでなく、幅広い手術法から選んでいくことをおすすめします。昔はよく行われた手術だけど、侵襲(組織損傷など)や合併症のリスクが大きいわりに、たるみの改善効果は少ないため、近年はまぶたのたるみ改善のために行われることはマレであるようにわたくしは認識しています。
※パニック障害など精神疾患や膠原病・腎不全など重度内科疾患の手術はお断りすることがあります。
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