どうしても皮膚を傷つける手術に抵抗がある方/気軽に時間をかけずたるみ治療をしたい方
たるみ治療ドクター
六本木境クリニック
境隆博
監修者情報
たるみ治療に真摯に取り組む六本木境クリニック
美容外科「六本木境クリニック」院長。たるみ治療に真摯に取り組み、カウンセリングからアフターケアまで一貫して担当。また、美容医療業界の技術発展を目指し、学会やシンポジウムでの発表・講演でも活動中です。
日本形成外科学会専門医/アンチエイジング外科学会評議員/美容外科学会(JSAPS)正会員/美容外科学会(JSAS)正会員
ボトックス注射とはその名の通りボトックスを注射する治療のことです。ボトックスは、ボツリヌス菌から抽出されるというタンパク質の一種です。このボツリヌス菌というのは、食中毒を引き起こす原因とされる毒素。この毒素の作用を使用することで、神経の働きを弱めて治療するという方法です。それを聞くとちょっと怖い気がしますが、美容業界では、シワを減らしたり、エラを小さくして小顔にしたり、治療例は多いのです。
具体的な作用を説明すると、このボトックスを注射することで、筋肉を収縮させる神経伝達物質である「アセチルコリン」に働きかけて弱めていきます。緊張して硬くなった筋肉に注入すると、筋肉に力を入れろと命令していた神経の働きが弱まって収縮していた筋肉がゆるみます。筋肉の太さやハリは薄くなり、筋肉の緊張の繰り返しでできていたたるみやシワが減っていくというわけです。
ボトックス注射は、メスを使わずに治療することができるので、手術に抵抗がある方は関心があるのではないでしょうか。しかし、まぶたのたるみ自体は、ボトックスによって引き締まるということではありません。どのような施術かというと、まぶたと眉毛の上にあるひたい部分の前頭筋にという筋肉に注射するというものです。ひたいのバランスを変えることで、まぶたの外側をグッと持ち上げることができます。
メスを入れずに手軽にまぶたのたるみを解消できるならいいなと思われるかもしれませんが、手術に比べるとデメリットも多いのです。ひたいの筋肉の外側だけがギュッとあがり、眉毛の外側だけを引きあげて、たるんだまぶたの外側だけを支えている状態となりますので、不自然な表情になるといったケースもあります。皮膚のたるみはそのままの状態で持ち上げていることになります。目尻が下がる三角目には有効と考える医師が多いのですが、前頭筋と言うひたいの筋肉のバランスを変えてシーソーのように目尻を持ち上げている分、中央から目頭の位置はたれたような印象になりがちです。
そして、ボトックス治療を繰り返しているとひたいの筋肉が弱くなってたるんできます。ひたいとまぶたはつながっていますので、まぶた自体のたるみがひどくなったかのように感じることとなります。そのように感じてきたときやまぶたのたるみが本当に悪化したときは、この方法では対処が難しくなります。注射を打つだけで即効性があって、一時的には効果があります。しかし、根本的なたるみ治療ではないことは知っておいてください。
また、皮膚のたるみを除去する手術と同時に、ボトックス治療を行う方法もあります。まぶたがたるんだことで出てきてしまった目尻にあるシワ、まぶたを支えようと筋肉に力をずっと入れてきたことでできた、ひたいのシワ、たるみが原因による表情シワの対策としてボトックスは使われることがあります。
ボトックスは、手術ではなく、注射によってボツリヌストキシンと言うボツリヌス菌の毒素を入れていく治療です。3日から1週間程度で効果が表れるので、すぐに効果は実感しやすいです。
ただし、時間がたてばボツリヌストキシンは徐々に体内に吸収されて、筋肉への働きかけが薄れていきます。ですから、持続効果は他の治療法に比べて短いです。一般的に3ヵ月から半年くらいから効果が徐々に弱まります。
まぶたが下がってきて気になってきたら、また繰り返し治療していかなければなりません。しかし、ボトックスをずっと続けていると、体は慣れていき抗体ができるため、ボツリヌストキシンを入れても効果がでにくくなるという問題もあります。そうすると、他の治療法に変えるということを考えなくてはならないのです。
注射を打つだけですので、10分程度ですみますので患者さんの負担は軽い治療法です。注射をした部分は腫れや内出血がある場合があります。皮膚を切るわけではないので、個人差はありますが、1週間程度で戻っていきます。美容外科で顔に打つ注射は極細針を使用していますので、針跡は残りにくいです。その方の治療経過にもよりますが、基本的には、当日から食事やシャワーなどもできます。
クリニックによって料金に差があります。あくまで目安ですがひたいへの注射は、1回2~5万円、目尻も1回2~5万円程度。ボトックス注射は、技術力で仕上がりに差が出やすい難易度の高い治療法ですので、安ければよいというものでもありません。1回の料金はお得ですが、効果を持続させるためには、半年位ごとの注射が必要になります。また、この他にも麻酔代金などの追加費用が発生する場合がありますので、施術前に料金の確認をした方が良いでしょう。
ボトックス注射は、日本の厚生労働省も認可している治療法ですが、まったく副作用がないということではありません。多いのは、注射を打ったときに血管を傷つけておこる内出血です。通常は1週間程度で消えていきますが、数週間長く残る場合もあります。注射した部分が動かしづらいなどの違和感を覚える方もいらっしゃいます。また、少ない確率ですが、頭痛やアレルギー症状を起こす場合もあります。
注意してもらいたいのは、ボトックスが筋肉に働きかける治療法ということです。筋肉の緊張をとり、強制的に働きを弱めています。半年もすれば、その作用がなくなって、元に戻ると思いますよね。しかし、一度弱った筋肉を戻すのは大変です。例えば、病気や事故などでしばらく寝たきりとなった場合。足の筋肉をずっと使わないとなかなか歩けず復活できないですよね。これがボトックスを注射したひたいの筋肉に起きるということ。表面ではきゅっと引き締まった状態に見えても、ずっとボトックスを繰り返せば、筋肉にとってはあまり良くない状態です。ひたいの筋肉の力が入らずに伸びきってしまうのは心配な要素です。そして、まぶたもひたいとつながっていますので、ひたいがのびると、まぶたがたるんだかのような印象になってしまいます。そして、このような状態は元に戻るものではありません。
他の施術と比べてみると、注射だけなので気軽に感じます。しかし、たるんだまぶたをひたいの外側で支えるだけの治療法で根本的にはたるみは解決しません。
また、ひたいの筋肉の働きを弱めることになるので、ひたいのたるみは次第に悪化します。そして、ひたいは、まぶたとつながっているため、まぶた自体もたるみが進んだかのように見えることも。他の手術も検討しながら、医師と相談をしていくと良いでしょう。
まぶたのたるみを他の手術で除去しながら、ひたいや目尻のシワを解消するという方法ならある程度の効果が期待できると思います。
※パニック障害など精神疾患や膠原病・腎不全など重度内科疾患の手術はお断りすることがあります。
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